夢現 ― 2007年04月15日 18時09分44秒
人生は百年の眠りから覚めた夢のように、不意に僕たちの前に舞い降りる。それは漫ろに僕たちの手を引くと、暗い洞窟の中から輝く光の渦に誘った。僕たちは目を瞬きながら立ち尽くし、光に導かれるままによろよろと歩き出す。取るものも取り敢えずに、僕たちの旅が始まった。
僕たちは昼の光の下で眠りにつき、夜の闇の中に歩を進めた。目覚めるために眠り、覚醒によって微睡む。次第に深くなっていく眠りの中で、僕たちは愛を探した。その輝きも薫りも知らぬままに。
引き篭もった僕たちは、置き忘れてきた自分の言葉を思い出す。しかし語ることは未だ叶わない。
やがて僕たちは愛によって見出され、愛に仕えた。愛の住み処に住まい、愛を貪る。僕たちは快楽の淵に耽り、欲望の沼に溺れた。深い翠の眼差しに射貫かれながら。心知れずに僕たちは愛を裏切り、闇に走る。束の間光のない愉楽に浸って。
僕たちの心は相対の意志によって揺らぎ、囁く声に凍りつく。動き始めた僕たちの言葉は、希望の松明の炎を揺らし、失意の海に錨を下ろす。僕たちは僕たちを殺し、僕たちの愛を殺した。
僕たちは愛しき幻を愛し、絶対の夢に背を向けた。そして愛に裏切られ、夢の影に呪う。僕たちの肉体は結晶し、汚物へと昇華する。病に倒れた僕たちは、夢の美しさに嘔吐した。
僕たちは手垢に塗れた夢の中で、遥か遠い想いを極める。僕たちは長い夢の旅路の末に、初めて果てゆくことの絶頂を知る。それは自己の還元に躊躇うほどの、震えるほどのときめきだった。
夢はその手をそっと振り解き、僕たちの目の前から飛び立った。翠の瞳は振り返ることもなく、かつていたあの場所へと。
人生は目に留まらぬほどの一瞬の煌き。夢から醒めた僕たちには、涙もなければ痛みもない。もはや光も射し込まず、愛に惑うこともない。
僕たちは今ゆっくりと本当の眠りに就こうとしている。夢の彼方に浮かぶ星の陰に、そっと手を取り合って、未だ来ぬ朝を待ちながら。
http://bunshoujuku.asablo.jp/blog/2007/04/16/1409468
僕たちは昼の光の下で眠りにつき、夜の闇の中に歩を進めた。目覚めるために眠り、覚醒によって微睡む。次第に深くなっていく眠りの中で、僕たちは愛を探した。その輝きも薫りも知らぬままに。
引き篭もった僕たちは、置き忘れてきた自分の言葉を思い出す。しかし語ることは未だ叶わない。
やがて僕たちは愛によって見出され、愛に仕えた。愛の住み処に住まい、愛を貪る。僕たちは快楽の淵に耽り、欲望の沼に溺れた。深い翠の眼差しに射貫かれながら。心知れずに僕たちは愛を裏切り、闇に走る。束の間光のない愉楽に浸って。
僕たちの心は相対の意志によって揺らぎ、囁く声に凍りつく。動き始めた僕たちの言葉は、希望の松明の炎を揺らし、失意の海に錨を下ろす。僕たちは僕たちを殺し、僕たちの愛を殺した。
僕たちは愛しき幻を愛し、絶対の夢に背を向けた。そして愛に裏切られ、夢の影に呪う。僕たちの肉体は結晶し、汚物へと昇華する。病に倒れた僕たちは、夢の美しさに嘔吐した。
僕たちは手垢に塗れた夢の中で、遥か遠い想いを極める。僕たちは長い夢の旅路の末に、初めて果てゆくことの絶頂を知る。それは自己の還元に躊躇うほどの、震えるほどのときめきだった。
夢はその手をそっと振り解き、僕たちの目の前から飛び立った。翠の瞳は振り返ることもなく、かつていたあの場所へと。
人生は目に留まらぬほどの一瞬の煌き。夢から醒めた僕たちには、涙もなければ痛みもない。もはや光も射し込まず、愛に惑うこともない。
僕たちは今ゆっくりと本当の眠りに就こうとしている。夢の彼方に浮かぶ星の陰に、そっと手を取り合って、未だ来ぬ朝を待ちながら。
http://bunshoujuku.asablo.jp/blog/2007/04/16/1409468
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。