としごろ-2 ― 2006年06月20日 00時51分36秒
彼女は僕と小学校の五年生から六年生の間一緒のクラスにいて、名前が少し似ているからといった罪のない理由で、二人は何か特別な縁で結ばれているかのように周りから見られていた時期があった。
彼女は存在の輪郭がシャープで、凜とした存在感があった。少し離れ気味の大きな目と口元から覗く八重歯がチャーミングだった。
僕たちも僕たちで、そんな状況に流される形で一度だけ二人で近くの渓谷に遊びに行ったことがある。たくし上げたスカートから覗く彼女の白い足が渓流に踊るのを眺めていると、僕は何故か神聖な気持ちになった。じっとしていられなくなり何事か叫びながら流れに身を投じると、彼女も水しぶきを全身に浴びてびしょ濡れになった。
僕たちは濡れた服を大きな岩にかけて乾かしながら、裸同然の格好で岩を挟んで背中合わせに黙りこくってお弁当のサンドイッチをかじり、コーラを飲んだ。
彼女とはその後、高校の文化祭で再会した。
幾分雰囲気が柔らかくなったようだったが、以前と変わらぬ眼差しが僕を包んだ。
彼女は僕を一通り案内してくれたあと、ロータリーの噴水で休みましょ、と誘った。
彼女は小学生の頃のことはよく覚えていないと言った。僕たちはお互いの近況や進路について話をした。
やがて彼女は時計を気にしながら、そわそわする仕草を見せるようになった。僕はちょっと考えて、
「……彼氏?」と聞いてみると、彼女は口をきゅっと結んで小さく頷いた。
すまなそうな顔を僕に見せながらも、彼氏にもう思いがいっているのだろうか、少し赤らめながらもパッと華やいだ顔になった。
僕は見たこともない彼氏の顔を想像しながら、彼女はもう性体験を済ませたのだろうかと考えた。授業中にその行為を思い出し、人知れず体を濡らしたりするのだろうかとも考えた。
僕は彼女と別れると、もう帰るつもりでトイレに寄った。鏡に映った自分の派手なシャツの大きな襟がひどく可笑しくて、僕は大きな声で笑いだした。
彼女は存在の輪郭がシャープで、凜とした存在感があった。少し離れ気味の大きな目と口元から覗く八重歯がチャーミングだった。
僕たちも僕たちで、そんな状況に流される形で一度だけ二人で近くの渓谷に遊びに行ったことがある。たくし上げたスカートから覗く彼女の白い足が渓流に踊るのを眺めていると、僕は何故か神聖な気持ちになった。じっとしていられなくなり何事か叫びながら流れに身を投じると、彼女も水しぶきを全身に浴びてびしょ濡れになった。
僕たちは濡れた服を大きな岩にかけて乾かしながら、裸同然の格好で岩を挟んで背中合わせに黙りこくってお弁当のサンドイッチをかじり、コーラを飲んだ。
彼女とはその後、高校の文化祭で再会した。
幾分雰囲気が柔らかくなったようだったが、以前と変わらぬ眼差しが僕を包んだ。
彼女は僕を一通り案内してくれたあと、ロータリーの噴水で休みましょ、と誘った。
彼女は小学生の頃のことはよく覚えていないと言った。僕たちはお互いの近況や進路について話をした。
やがて彼女は時計を気にしながら、そわそわする仕草を見せるようになった。僕はちょっと考えて、
「……彼氏?」と聞いてみると、彼女は口をきゅっと結んで小さく頷いた。
すまなそうな顔を僕に見せながらも、彼氏にもう思いがいっているのだろうか、少し赤らめながらもパッと華やいだ顔になった。
僕は見たこともない彼氏の顔を想像しながら、彼女はもう性体験を済ませたのだろうかと考えた。授業中にその行為を思い出し、人知れず体を濡らしたりするのだろうかとも考えた。
僕は彼女と別れると、もう帰るつもりでトイレに寄った。鏡に映った自分の派手なシャツの大きな襟がひどく可笑しくて、僕は大きな声で笑いだした。
最近のコメント